第5話 砂糖からラクダまで
長崎から北九州小倉までの長崎街道を、別名、「シュガーロード」とも呼ぶそうです。
長崎奉行所前にあった「長崎会所」での砂糖の入札には、江戸・大阪・京都から多くの商人が砂糖を仕入れにやってきたとか。砂糖や絹、カステラにコーヒーをはじめ、西洋の書籍・器具、政治・軍事・文化・芸術の一切が、この地長崎を経由して日本国中に広まっていきました。
街角にたって、目を閉じて、歴史の彼方にチャンネルをあわせると、オランダ語や中国語の商談が聞こえてくるような、振り返ると、オランダ人さんの散歩姿がみえてくるような。その気になれば、この町はタイムトリップが可能です。おすすめは、甘味処やカフェをはしごしながら、ゆっくりと歩くことです。
遊女という言葉の響きや暮らしぶりが心の深い所でチクツとひかかっていました。
深い所で気になるものって、日常の事柄にまるっきり忘れているけれど、それでも、なにかふとした時に、例えるなら
蛍の光のように、胸の辺りで、ぽわーんと光ることがありませんか?
あれ?ふとした時のふ、は腑ですか?
調べるのは後回しにして先に進みます。
先日、そんな蛍の光のような手紙に出会いました。
オランダ商館員と恋仲になり、オランダ船に忍び込み、オランダに渡ったおふみさんという遊女をご存知ですか?
おふみさんの存在が世の中に出たのは21世紀になってから。オランダから日本のお母さんに宛てた手紙が、多久の儒学の研究者の資料の中に紛れ込んでいて、発見されたそうです。
長い長い時を越えて、その手紙は現代で光はじめたのです。
この手紙の内容がネットで、おふみさんのドキュメンタリー番組を制作した方のエッセイの中で公開されていました。
とても胸を打つ手紙です。
この出会いを助けてくれたのは、ラピスラズリではないかと思えていています。
実は、第2回の道富丈吉さんのお墓を探して皓台寺の裏山に迷い込み、無遠慮さに気づき、日々、丁寧に感じることを心がけていたところ。
ずっと付けていたネックレスの玉がなくなりまして。
その頃、読んでいた本にラピスラズリのことが書いてあり。
これは!と思い眼鏡橋から一本入った通りのチャイハナさんへ急ぎました。
お店の方はインドへの仕入れ旅行に出かけられる直前でしたが
天然石のことについて、いろいろ教えてくださいました。
そして購入したのがこのラピスラズリ。
なんでも宇宙の叡智と繋がり、直感的な毎日をクリエイトしてくれるとか。
そして、その足で図書館に行き、おふみさんのことを知るのです。
もともと私は綿密にものごとを練り上げるタイプではないんですが。
最近、ますますそうなってきているように感じます。
こんなことがありました。
5月31日。築町に大好きな陶器屋さんがあり。近くを通る時には必ず寄るんです。
するとセールの最終日で、セールのワゴンの菓子盆を手に取り、「これはなんに使うとやろかー。かぶる?とか?」と盆を頭に乗せてなんだか楽しそうな女性がお一人。
その方は買い物を終えられお店を後に。
私は陶器店のこれまた楽しい奥様と一頻り話した後、
話題が、さっきのお盆を帽子にした女性の話になり。
その方は向かいの居酒屋のママさんで
明日から焙煎コーヒーを三時くらいから出すそうで、お店の名前も
「ふらっと」になるとよーとのこと。
ひゃー、もう何故だか、私の中でゴーサインです。
築町あたりで珈琲飲めるとこ探してたんです。
名前の付け方も大好き。
そして次に伺った時の写真がこちら。
少し写真、傾いてますよね。
これって?体の歪みでしょうか?
「ふらーっと」この看板。伸ばすところに温泉マークを感じません?
この揺らぎ感、好き。
この雰囲気に見せられ、足を止め、階段を登る方が
増えてくるんじゃないかなぁ?
ママさんとは初めて話すのですが、
無理のない、そのまんま感たっぷりの女性で。
会話のキャッチボールが心地よくて、焙煎された豆の香りが漂って、さらに心地よく。
で、なにがいいかって、私に合っているのは
ママが焙煎珈琲にチャレンジして、今も学びの真っ最中のところなんです。
「珈琲はたっぷりだそうと思ってるんだぁ、だって、ゆったりしてもらいたいから」とのことでした。
これで2杯目の写真です。
そして、ママ。長崎の歴史の勉強がしたくて、長崎伝習所にも2年通われたそうでした。
この心地よさを胸に、お向かいの野口陶器店さんにも寄るとこれまた、びっくり。
佐藤恵さんの作品展開催中で。
かわいくて、おもしろくて。
思わず、即買い!長崎弁ストラップ。
見えます?「YOKAGOTTAI!」訳ヨサゲジャン!の文字。
だるまさんのようなお人形の裏にローマ字が書いてあるんです。
で、このだるまさん、自らも携帯電話でお話中で同じ形のストラップ下げてます。
もうね、やられました。かわいすぎるって。
そしてお気づきでした?
黒猫のしっぽ、これは絵葉書。
だんごしっぽという長崎ならではのしっぽの猫の絵です。
このだんごしっぽ猫、貿易船にねずみ退治で連れてこられた
東南アジアの猫のなごりなんだそうです。
この出会い。
もう、すごすぎ。
砂糖かららくだまでの巻で、佐藤恵さんに会ったことで
今回のつぶやきは終了!
ながーい文を読んで頂き、あぁ、嬉しいです。
ありがとうございます。