長崎ひとりあるき 第5話「盆と精霊流し 後半」
精霊船、いかがでしたでしょうか。
それぞれに大切な方をお見送りされた経験がおありだと思います。
私も実の父を精霊船で見送った経験があります。
私の両親は、ずっと東京で暮らしていて、そこで姉が生まれました。
姉の喘息がひどくなるので、空気の良い長崎を住む場所に選んで越してきました。
父が亡くなるときには、長崎に来て40年近くが経っていました。
芒塚の町の方たちが「町の船にのせたらいいよ」と言ってくださったときの嬉しさを今でも覚えています。
個人の船を出すとお金もかかりますし、また担ぎ手にも集まっていただかねばなりませんので、
町の皆さんから声をかけていただいた時に、本当にホッとしたことを覚えています。
そして、8月15日の夕方、町の皆さんが船の横につき、動き出すときに、
父も本当に地元の皆さんから愛してもらったんだな、という思いがこみ上げてきて、
ものすごく感謝の気持ちがわいてきたことを覚えています。
ちょうどそのときに、私は妊娠6ヶ月くらいでお腹の中に娘がいたんですけど、
あの日の夜は忘れられない思い出です。