読み手「やまだ眸月真」のつぶやき

はたあげ

第8話 ケンプエルと将軍綱吉

幕末近くなってからは五年おきになったようですが、オランダ商館のカピタン(商館長)は、毎年正月に長崎を出て大阪は淀屋橋近くの宿泊、住友の銅製錬所を視察、京都は四条あたりに宿泊し、そして、江戸では日本橋近くに定宿があり、日本国中の蘭学を志す人達や医者・幕府役員の来訪で大いに賑わったようです。
都合4ヶ月程の大旅行だったわけですが、それにしても 幕末の攘夷浪人は京都や大阪の長州藩邸や土佐藩邸の近くに、オランダ人の定宿があったと 知ったら、「外国人を日本に入れるのはとんでもない」「攘夷」「攘夷」と言ってたわけです から、腰を抜かして驚いたでしょうね。今回は徳川将軍も人の子、楽しいエピソードでした。

つぶやき★ついで
クローバー

今回の朗読は、おかしくて、おかしくて。台本の読み込みをしながら、笑いが止まらなくなり。休憩をとったほどです。

綱吉の「よっぱらいの真似をいたせ」はみぞおちパンチもの。それに応えるケンペルさん、最高です。
好きだなぁ、ケンペルさん。きっと何処へ行っても人気者だっただろうなぁ。

この江戸で酔っ払いの真似をしたケンペルさんを読み、先日、久しぶりに東京へ行った時、電車の中でまったく忘れていた私の酔狂を思い出しました。しばしお付き合い下さい。

17,8年も前のこと。時効でしょうか。
長崎から仕事で上京し、渋谷で高校時代の男友達と飲んだ夜。
同じ電車に乗り込み、途中で「じゃぁねバイバイ」とその友人は電車を降りました。
私は電車には不慣れなので、それなりに緊張して乗っていたはずが。気がつくと、私は立ったまま寝たようで、見ず知らずの男性に、後ろから肩を借りる状態で、額をすっかり預け寝てました。
「あ!すみません。」と声をかけると男性は振り向くことなく、「大丈夫です」と返してくれたような。
だけど、私のすみませんは、肩に触れてすみませんではなく。「私の額のファンデーションがコピー&ベースト状態で紺のスーツに付いてしまいました!」だったんです。
その前置きを言えませんでした。そして、罪深い夜には、まだ続きがあります。
さらに今度は立っていたはずが気がつくと席に座っており、電車は私が降りなければならない池袋をゆっくりと動き出すところ。
「あ!寝てしもうたぁ。何で起こしてくれんやったと?」と左に居る人の腕を叩きました。
すると「ぼく違います」の声。見ればイカツイ友人の姿はなく、美しい男性が座ってました。そうだ!さっき降りていったんだ!友人は!
「あっ、ごめんなさい。」と謝ったとは思いますが、はっきり覚えているのは言い放った長崎弁が頭の中でこだましていたことと、恥ずかしさと眠さが交互にやってきて、もうどうにでもなれという気分だったことです。

ずっと忘れていました。それでも記憶って残っているんですね。もうどうにでもなれという気分・・・。
上京と酔狂、二つが重なったからでしょうか、蘇りましたぁ。

今回の上京、ほんの数時間自由になる時間があり。生前の父のことを聞きたくて会った親戚の方に 吉祥寺の美味しいお店に連れて行ってもいらいました。
なんでも30年来の友人のお店だそうで。 Le Bon Vivomt ル ボン ヴィボン 素晴らしき人生、愉快な仲間という意味のフランス家庭料理のお店。ここでの数時間が、ここ数年の私の人生のゴールでもあり スタートでもあった気がしてなりません。
なんの会話からだったか、親戚の方が「さわやかな情念」という言葉を言い、私「え?なにそれ?」と言い「え?勝手に口を突いたからわかんない。気になるならメモするのがいいよ」 「あ!そうだね。さわやかな情念っと」、手帳に書きました。
長崎に帰り、さわやかな情念。やっぱり響きます。もう少し時間が経つとなにかポーンと答えに出会いそうな予感もします。

写真の方がオーナーの高橋さん。お料理のサービス中にかけて下さる一言、一言がなんとも、大人で楽しい。
思えばケンペルちっくな方。そうか、そうか!だからかぁ。だから思い出したのか。
一つに綱、違う、繋がったー!
もしかして。綱の動詞が繋がるだったりして。綱吉とは繋がりを吉とするからでしょうか、とか、広がる思考をひとまず、ストップ。
お店を出る時、ドアの外には山盛りの紫陽花が活けてあったんです。
長崎の花。お滝さん花、歓迎してくれてたんだー!と一人お花と会話中、「これね、昼間犬の散歩中に拾ったんだよ。またおいでね」と オーナーが四葉のクローバーを下さいました。サプライズ!
嬉しくて、嬉しくて。あ!綱吉さん、犬を愛していましたよね。一つに綱、違う、繋がったー!と、またも広がる思考をストップし、 話を時系列で進めます。頂いた四葉は手帳に挟んで長崎に帰りました。
そしたら昨日、歩きながら四つ葉を見つけました。
東京と長崎の四葉のコラボ。いかがでしょう。
四つ葉のクローバーは、一枚一枚の葉に意味があるそうで。 faith (誠実)、hope 、(希望)、love (愛)、そして四枚目がlucky (幸運)これら四枚がそろってはじめて Genuine『真実・本物の力』を表すとか。
かっこいいなぁ、「真実、本物の力」だそうです。
私にとっての「本物」には一般的には在りえない解釈が その生い立ちからあります。次回は、その在りえない解釈をお伝えできればと 思います。
Le Bon Vivomt ル ボン ヴィボン 素晴らしき人生、愉快な仲間。 ここから、また素晴らしい人生が始まります。

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