第18話 ピナテールのこと
本文中に出島五番館海江田病院とありますが、現在出島あたりは長崎市の事業として、出島復元事業が行われており、そのための長崎市の施設が置かれています。
この朗読本文が書かれたころと、現在の出島は趣きが変わっています。
番外編の「出島」の巻で写真等もご覧ください。
さて・・・今回、ピナテールのことを朗読できて、私は本当に嬉しいです。
ピナテールのことを知ったのは30代になったばかりの頃で、斉藤茂吉を生涯の師とする長崎の歌人・黒岩
二郎先生から教えて頂きました。
ピナテールが遊女・正木の朱色の箱枕を大事にしていたという、ピナテールの全体のお話を聞いた時に、当時、私が一番思ったのは、朱色という色が鮮やかに蘇ってきたこと。蘇ったというか、浮かんできたことを覚えているんです。
今回、朗読をしてみて、「正木に酒乱さえなければ・・・」というピナテールの苦しみがものすごく迫ってきました。
そのことで私は、自分の生い立ちに長く影を落としていた、とても身近な人のアルコール依存という、その苦しみから解放されつつあることを感じています。
共感する、その思いを言葉にするということが、最初は辛いんですけど、こんなに後から解放感を連れてくるということを体感しています。この18話「ピナテール」、感謝の思いでいっぱいです。