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特別編「長崎おもしろ・よもやま話」第38話「江戸までの距離」

江戸時代をはじめ、ポルトガル人は排斥され、阿蘭陀人のみ貿易の特権を与えられます。ここで阿蘭陀人には二つの選択肢がありました。それまでの平戸から、政治の中心地江戸に近い土地に移るか、または、長崎に移るか。江戸近くの浦賀あたりに商館をおけば、バタビアから玄界灘を渡り、瀬戸内に入り、紀州沖、遠州灘を渡っていかねばなりません。阿蘭陀人たちは、この航路には自信がなかったようです。結果的に、我が国最先端の長崎に移りました。江戸と距離を置いた…結果的にこれが長崎の繁栄をもたらしたのでしょうが、開国後には反対にこれが障害となりました。今回は、そんなお話です。

特別編「長崎おもしろ・よもやま話」第37話「幕末のドル・ショック」

金と銀。これは世界中どこでも通用する通貨として使用されました。我が国では、流通経済の盛んな西日本では、生野銀山から継続的に算出される銀を主体に取引がすすみ、東日本では金が主体で、金・銀の交換比率は相場により変動し、江戸と大坂では国際為替にも似た取引が行われていました。ところが世界的には、新大陸からのメキシコ銀が大量に供給され、金と銀のバランスが大いに崩れます。結果的に、我が国では金に対して銀が相対的に過大評価され、外国人はこの差に注目します。日本で銀を金に交換し、上海で銀を金に交換し、その銀をまた日本に持ち込む、この繰り返しだけで、大きな利益が転がることになります。今回は、為替に疎い幕府を出し抜いて…というお話をお届けします。